分散した研究データをSaaSで一元化。
材料開発を加速するデータ活用基盤「LabBank」導入の実例

  • 公開日 2025-09-11
  • 最終更新日 2025-09-11

お客様情報

  • 企業:材料メーカー
  • 職種:開発
  • 業務:新規材料開発

多くのメーカーの研究開発(R&D)部門が、「過去の貴重な試験データが、担当者のPCや部署のファイルサーバーに分散していて活用できない」「本格的なデータ基盤を構築したいが、初期投資や専門人材の確保がネックになっている」といった「データのサイロ化」問題に直面しています。

DXの重要性が叫ばれる一方で、その第一歩となるデータの一元管理が進まないのが実情です。

今回ご紹介するのは、材料メーカー様が抱えていたこの課題に対し、Aidemy Solutionsが提供するSaaS型データ活用プラットフォーム「LabBank」を導入した事例です。初期投資を抑えつつ、社内に散らばっていた試験データをいかにして一元化し、物性予測まで行える開発基盤を構築したのか。そのプロセスと成果をご覧ください。

図:社内に分散していた試験データをクラウド上で一元管理し、物性予測モデルを複数構築できるようにした事例を示した。LabBankを活用することで、他の研究テーマにも展開しやすいSaaS型の材料開発支援基盤を実現している。

導入前の課題「データが分散し、資産として活用できていない」

新規材料開発に取り組むこの材料メーカー様では、R&D部門において「試験データが社内に分散し、利活用できていない」という課題を抱えていました。

この課題を解決するため、「データを一元管理し、物性予測を行うことで、開発を加速させる」という目標のもと、本プロジェクトがスタートしました。

プロジェクトは「要件定義」と「予測アプリを含めた最終実装」の2段階で

プロジェクトは合計5ヶ月。お客様の既存システムと連携させ、実務で使えるデータ活用基盤を構築するため、フェーズ1として「要件定義」(2か月)、フェーズ2として「予測アプリを含めた最終実装」(3か月)の2つのフェーズで進行しました。

プロジェクトメンバーは、お客様からはプロジェクトマネージャー、開発部担当者、事業部担当者、Aidemy Solutionsからはプロジェクトマネージャー、データサイエンティスト、エンジニアが参画しました。

図:アプリの要件定義(フェーズ1:2ヶ月)と、予測アプリを含む最終実装(フェーズ2:3ヶ月)の工程を示した。各フェーズの進捗は週次定例会で報告される体制を表している。

フェーズ1「要件定義」
実務を想定した最適なシステム連携を設計

最初の2か月は、お客様のデータ活用の実務を想定し、綿密な要件定義とアーキテクチャ設計を行いました 。

「LabBank」はSaaS型のプラットフォームですが、お客様がすでに利用しているAzureのデータ基盤とスムーズに連携させることが重要なポイントでした。研究員がローカルPCから入力したデータを「LabBank」で管理しつつ、お客様のクラウド環境とも連携・同期させることで、セキュリティと利便性を両立したシステムアーキテクチャを設計しました。

図:顧客の研究データ基盤とSaaS型データベース『LabBank』の連携アーキテクチャを示した。ローカルPCからCloud A・Cloud BにまたがるVPC環境と、Amazon ECSやAzure Data Factoryなどの構成要素を通じて、研究データの一元管理と連携を実現している。

フェーズ2「予測アプリを含めた最終実装」
データの一元管理から物性予測、可視化までを実装

次の3か月で、設計した構成をもとに最終的な実装を行いました。これにより、単にデータを一か所に集めるだけでなく、それを活用して開発を加速させるための機能が実現。具体的には、次の取り組みを行いました。

  • 順問題・逆問題解析
  • 蓄積したデータをもとに、実験条件から結果を予測したり、望む結果から最適な条件を探索したりする物性予測モデルを複数開発しました。
  • データの可視化
  • 各種データをダッシュボードで可視化し、直感的な分析を可能にしました。
図:LabBankのデータベースとAzure上のデータ基盤を連携し、複数の材料開発テーマで収集したデータを蓄積・加工・可視化する仕組みを示した。順問題や逆問題の分析に活用され、データ活用の幅を広げている。

まとめ「横展開できるデータ活用基盤」

本プロジェクトを通じて、お客様は以下の成果を得ました。

  • データ管理
    クラウドを活用したデータベースにより、社内に分散していた試験データの一元管理が可能に。
  • 予測モデル
    機械学習による物性予測モデルを複数開発し、開発業務の効率化を実現。
  • 他研究テーマへの応用
    「LabBank」は研究テーマごとにデータ構造を柔軟に変更できるため、今回構築した基盤を他の研究テーマへ容易に横展開することが可能に。

本事例は、初期投資を抑えられるSaaS型のプラットフォームを活用することで、企業のDXにおける最初の壁である「データの一元管理」をスピーディに乗り越えられることを示しています。データを一箇所に集めるだけでなく、物性予測や可視化といった具体的な活用までを見据えて基盤を構築することが、R&Dの競争力強化に直結します。

「研究データを資産として活用しきれていない」「材料開発のDXを何から始めればよいか分からない」といった課題をお持ちでしたら、ぜひAidemy Solutionsにご相談ください。貴社の状況に合わせた最適なデータ活用プラットフォームの導入をご支援します。

資料ダウンロード

こちらの事例の資料は以下よりダウンロードいただけます。

資料をダウンロード
導入事例へ戻る

資料ダウンロード

サービスに関する詳細や
導入事例についてご紹介した
資料をダウンロードいただけます。

お問い合わせはこちら

お悩みや課題に合わせて
活用方法をご提案いたします。
お気軽にお問い合わせください。