50箇所のアナログメーターをAIで無人化&常時監視。
高付加価値業務への人事配置転換を実現した方法とは

  • 公開日 2025-09-11
  • 最終更新日 2025-09-11

お客様情報

  • 企業:自動車メーカー
  • 職種:保全
  • 業務:設備状態の管理

多くの製造現場で、広大な工場に点在する何十個ものアナログメーターの数値を、毎日スタッフが歩いて確認・記録することは、今も当たり前のように見る光景ではないでしょうか。

しかし、この「当たり前」の業務には、人件費だけでなく、ヒューマンエラーのリスクや、異常発見の遅れによるダウンタイムといった課題が潜んでいます。

このような定型的な巡回点検を完全に自動化し、そこで働いている人材をより創造的で付加価値の高い業務にシフトさせることができたら、企業の競争力は大きく向上するはずです。

今回ご紹介するのは、Aidemy Solutionsが大手自動車メーカー様と実現した、画像解析AIによるアナログメーター監視の完全無人化プロジェクトです。巡回点検業務をいかにして自動化し、価値ある人員配置転換を実現したのか。そのプロセスと成果をご覧ください。

図:設備監視業務の課題と画像認識による解決策を示した。従来は1日1回、2人の検査員で手動チェックしていたが、画像認識の導入により常時監視と無人化を実現した効果を解説している。

導入前の課題「1日1回の巡回点検ではダウンタイムを防げない」

今回ご支援した自動車メーカーの保全部門では、設備管理において以下の課題を抱えていました。

  • 50箇所のメーター値を人がチェックしている
    2人の検査員が、50箇所ものメーター値を毎日巡回してチェックしていた。
  • リアルタイムでチェックができず、ダウンタイムが発生
    点検は1日1回のため、リアルタイムでの状態把握ができず、異常発見の遅れがダウンタイムにつながることがあった。

このような問題を解決するために、「人による目視チェック」という従来の方法に代えて、常時監視と無人化を実現すること、さらに人的リソースを有効活用することが、本プロジェクトの大きな目標でした。

プロジェクトは「画像解析モデル開発」と「業務用アプリ開発」の2段階で

現場で本当に使えるシステムを構築するため、フェーズ1では「画像解析モデル開発」を、フェーズ2では「業務用アプリ開発」を、それぞれ3か月の期間で実施。各フェーズでお客様と密に連携しながら開発を進めたことが、高いパフォーマンスを達成する鍵でした。

プロジェクトメンバーは、お客様からはプロジェクトマネージャー、DX担当者、事業部担当者、Aidemy Solutionsからはプロジェクトマネージャー、データサイエンティストが参画しました。

図:画像解析モデル開発(フェーズ1)と業務用アプリ開発(フェーズ2)の2段階プロセスを示した。各フェーズは3か月間で進行し、週次定例会で進捗報告を行う流れを表している。

フェーズ1「画像解析モデルの開発」
AIにアナログメーターの「読み方」を教える

最初の3か月は、アナログメーターの針が示す数値を、カメラの映像から正確に読み取るための画像解析モデルを開発しました。

まず、どのカメラを使えば鮮明な画像が撮れるのか、照明や角度はどうすべきかといったカメラの選定と撮影条件の最適化からスタート 。その後、お客様と現場でのテストを繰り返し、多様な状況下でも安定して数値を読み取れるよう、アイデミーが持つナレッジを活用してモデルの精度を高めていきました。

このプロセスを経て、カメラで撮像したアナログメーターの値を、正確なデジタル値へと変換する仕組みが完成しました。

図:設備のメーター値を人が目視で確認していた従来の方法から、画像認識を用いたデジタル化を実現した事例を示した。カメラで撮影したアナログメーターを自動で数値化し、認識精度を向上させた効果を解説している。

フェーズ2「業務用アプリ開発」
現場担当者が直感的に使える監視システムを構築

次の3か月では、開発したAIモデルを組み込み、現場の担当者が日常的に活用できる業務用アプリケーションを開発。

開発にあたっては、実際にシステムを利用する設備監視業務の担当者と、業務フローの確認やシステムの仕様について綿密な打ち合わせを実施。管理室のパソコンだけでなく、手元のスマートフォンでもリアルタイムで状況を確認できるダッシュボード画面などを、イメージを共有しながら開発しました。

このような取り組みにより、「いつでも」「どこでも」直感的に設備の状態を把握できる、使い勝手のよい監視システムが完成しました。

図:カメラで取得した設備データを管理室から常時監視するシステムの事例を示した。PCやスマホからリアルタイムで監視でき、将来的には異常の予兆検知も実施予定であることを解説している。

まとめ「巡回人員ゼロ、24時間365日の常時監視を実現」

このシステムの導入により、お客様の設備監視業務は劇的に変わりました。

  • 巡回人員の無人化
    これまで2人がかりで行っていた巡回点検が不要になり、人員をゼロに。
  • 24時間365日の常時監視
    1日1回だった点検が常時監視となり、リアルタイムで設備の異常を検知できるように。
  • 高付加価値作業への人員配置転換
    巡回業務から解放された2名の人員を、より専門的な分析や改善などの高付加価値な作業へと再配置が可能に。

さらに、今後は蓄積されたデータを活用し、単なる監視だけでなく異常の予兆検知も行っていく予定です。

今回の事例は、AIによる画像解析が、定型業務の自動化と人的資本の最大化にいかに貢献できるかを示す好例です。カメラとAIの目で「見る」業務を代替することで、スタッフは人にしかできない創造的な仕事を担当できるようになります。

「うちの現場でも、あの巡回業務を自動化できないだろうか?」。そうお考えでしたら、ぜひAidemy Solutionsまでお気軽にお問い合わせください。現状の課題をヒアリングし、最適な解決策をご提案します。

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