生成AI(RAG)で受注判断を高速化!
自動車メーカーが挑む受注判断の効率化と属人化対策

  • 公開日 2025-08-29
  • 最終更新日 2025-08-29

お客様情報

  • 企業:自動車メーカー
  • 職種:製造
  • 業務:カスタムカーの生産

製造業において、顧客からの多様な要求に応えるための受注プロセスは、企業の競争力を左右する重要な要素です。特にカスタム製品の場合、仕様書の確認と社内情報との突き合わせに多くの時間と手間がかかり、ビジネスのボトルネックになるケースも少なくありません。

今回は、生成AIとRAG(Retrieval-Augmented Generation、検索拡張生成)の技術を活用し、この課題解決に乗り出した自動車メーカー様の事例をご紹介します。Aidemy Solutionsと一緒に、いかにして受注判断の効率化と将来的な自動化を目指しているのか、その先進的な取り組みをご覧ください。

図:外部文書と社内情報の突き合わせ作業の非効率や受注判断の遅れといった課題を示し、AI活用で照合を効率化し、判断時間短縮や生産台数増加、売上向上に寄与した効果を対比で示した

導入前の課題「複雑な情報照会が引き起こす、機会損失と業務の属人化」

カスタムカーを生産するこちらのメーカーでは、受注を判断する際に、顧客から提示される図面を含む「仕様書(外部文書)」と、社内で保有する生産関連の「社内情報」を人の手で突き合わせる必要がありました。このプロセスにおいて、以下の深刻な課題を抱えていました。

  • 非効率な突合作業
    膨大な量の外部文書と社内情報を照合する作業が非効率で、多くの時間を要していました 。
  • ビジネス機会の損失
    受注判断に時間がかかることで、生産計画に遅れが生じ、結果として生産台数と売上が伸び悩む一因となっていました 。 受注判断に時間がかかることで、生産計画に遅れが生じ、結果として生産台数と売上が伸び悩む一因となっていました 。
  • 業務の属人化
    複雑な判断が特定の担当者の経験や知識に依存しており、業務が属人化していました 。

これらの課題を解決するため、「外部文書の確認と突合作業を効率化し、受注判断を迅速化したい」「属人化を解消したい」という強いニーズがありました。

プロジェクトは「簡易RAGを活用した生成AIの要件定義」と、
「検証&精度改善」の2段階で

プロジェクトは、フェーズ1として「簡易RAGを活用した生成AIの要件定義」の構築、フェーズ2として「検証&精度改善」の構築を、各3か月で実施。週次定例会で進捗を報告することとしました。

プロジェクトメンバーは、お客様からはプロジェクトマネージャー、DX担当者、事業部担当者、Aidemy Solutionsからはプロジェクトマネージャー、データサイエンティストが参画しました。

図:簡易RAGを活用した生成AIの要件定義(フェーズ1)と、検証および精度改善(フェーズ2)の2段階プロセスを示した

フェーズ1「簡易RAGを活用した生成AIの要件定義」
簡易RAGを構築し触れながら、必要な機能を明確化

お客様との週次定例会で進捗報告と意見交換を行いながら、次を実施しました。

  • 素早く体感できる環境を提供し、要件を洗い出す
  • 優先度を考慮し、要件・機能全体を可視化
  • TOBEアーキテクチャ作成
  • 生成AIのロードマップを作成、AIエージェントを見越した自動化をゴールとして設定
図:生成AIの活用により業界優位性を高めることを提案する

まず、簡易的なRAGシステムを迅速に構築し、お客様に「実際に触ってもらう」環境を提供しました。これにより、お客様は生成AIで何ができるのかを具体的に体感しながら、現場の業務効率化に本当に必要な機能を洗い出すことができました。

このプロセスを通じて、必要な機能の優先順位付けやシステム全体のアーキテクチャ(TOBEモデル)を策定。最終的には、将来の「AIエージェントによる自動化」をゴールに見据えた「生成AIロードマップ」を作成し、プロジェクトの目指すべき方向性を明確に共有しました。

図:外部文書と社内情報を突き合わせて必要な機能を洗い出し、簡易RAGを構築して作業効率化のための機能を明確化するプロセスを示した

フェーズ2「検証&精度改善」
機能の開発と精度改善を行い、目標とする精度レベルまで向上

フェーズ2でも、お客様との週次定例会で進捗報告と意見交換を行いながら、次を実施しました。

  • 検証環境を構築
  • 各機能の評価指標に対して、検証/評価PDCAを実施

まず、フェーズ1で定義した要件に基づき、機能開発と検証環境の構築を実施。開発した各機能が業務で有効に機能するよう、評価指標を設定し、検証と評価を繰り返すPDCAサイクルを実行しました。

単に開発して終わりではなく、精度評価の結果をレポートとして提出し 、目標とする精度レベルに到達するまで改善を続けることで、実用的なシステムの実現を目指しました。

図:AIを活用した精度向上のPDCAサイクルを経て、アプリ開発へと進むプロセスを示した

まとめ「迅速な受注判断がもたらす、売上への貢献」

本プロジェクトの推進により、次の効果が期待されています。

  • 業務効率化と属人化の解消
    外部文書と社内情報の突き合わせや整理にかかる時間が大幅に短縮され、業務の属人化が解消されます。
  • 生産台数と売上の向上
    受注判断が迅速化されることで、生産可能な台数が増加し、企業の売上向上に直接的に貢献します 。

将来的には、生成AIが自律的に判断を行う「自動判断」を目指しており、業界内での優位性をさらに高めることが期待されます。

Aidemy Solutionsでは、生成AIやRAGといった最新技術を用いて、課題解決から将来のDX推進までをトータルで支援します。

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